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ホーム >  診療科案内 >  脳神経外科(Neurosurgery) >  疾患解説 >  解離性脳動脈瘤

解離性脳動脈瘤


疾患症状について

脳梗塞 くも膜下出血 を引き起こす脳動脈解離

 脳動脈瘤は、一般的には血管にできた風船のような瘤を指すことが多いですが、実は脳動脈瘤には、嚢状動脈瘤、解離性脳動脈瘤、血豆状脳動脈瘤などの種類が存在します。

 脳動脈は、内側から内弾性板、中膜、外膜という3層の構造になっています。 中でも正常の内弾性板は、血圧600mmHgまでの圧に耐える、動脈壁の一番強い構造です。 また、必要に応じて内膜が一番内側に形成されます。 内膜は、基本的には血管に損傷が加わった時に、それを修復する組織であり、通常の動脈には殆ど見ることはできません。

 脳動脈の解離は、内弾性板に大きな裂け目ができて、中膜の中に血流が進入することによって生じます。 日本人では、うなじの部分にある“椎骨動脈”に発生することが非常に多く(80-90%)、この場合、うなじの部分から後頭部にかけて、比較的強い痛みを生じます。

ここで重要なのは、解離性脳動脈瘤には大きく3通りの経過が存在することです。
 1. 血管が狭くなることで血流が悪くなり、最悪の場合脳梗塞に至るケースです。
 2. 血管の外膜が裂け、くも膜下出血になるケースです。
 3. 脳梗塞やくも膜下出血にならず、頭痛のみで経過するケースです。

 くも膜下出血や脳梗塞になるケースは、痛みが発生してから数日以内に発症することが大半です。 働き盛りの年代(20-60代)で発症することが多く、首をひねったり、重い荷物を持ったりすることが原因になる場合があります。



検査・診断

発症した際の 病歴 がとても大切


 診断で最も大切なのは病歴(症状が出現した経過)ですが、血管の形を見る造影剤を用いた頭部CT検査や頭部MRI検査も併せて診断に至ります。 ただし、一度の検査で必ずしも診断がつけられるわけではなく、経過中に血管の形状が変化するという事も動脈解離では重要な情報です。 脳血管撮影も診断や治療を考えるうえで非常に重要ですが、発症してから間もない時期に検査を行うと合併症のリスクが高くなるため、患者さん毎に必要性を判断することが大切です。 手術治療が必要と判断されるような重症例では、脳血管撮影は必須といえます。



治療法

多くの場合は経過観察、重症なら外科治療

 頭痛のみの場合、発症から14日間程度の入院安静を推奨しています。 その間は、定期的に頭部MRI(または造影剤を使用した頭部CT)で血管の形状に変化がないか確認し、薬剤で血圧を下げます。

くも膜下出血や脳梗塞を伴う場合、外科治療の対象になることがあります。 解離性脳動脈瘤の外科治療は、動脈瘤治療の中でも難易度が高い治療になります。 大きく分けて、開頭手術とカテーテル手術があります。 どちらの治療法も、解離性脳動脈瘤が生じた部位によって治療方法が大きく変わるため、ここでの詳細な説明は割愛させていただきます。 詳細が気になる方は、当院脳神経外科またはかかりつけ医へご相談ください。



経過

経過観察 がとても大切

 頭痛のみの場合、多くは14日間の経過観察後に自宅退院となり、これまでと同じ生活が可能です。 ただし、退院後も定期的なメディカルチェックをお勧めしています。 動脈解離は、血管の修復が終わった後も数年から十数年かけて形状が変化する場合があり、治療を要する場合があるためです。 動脈解離により血管が閉塞してしまった場合は、他の血管に動脈瘤が発生することも報告されています。

 脳梗塞やくも膜下出血を発症した場合、外科的治療後の回復具合にもよりますが、リハビリテーションを行い、日常生活が可能なレベルへ機能改善することを目指します。 長期的なリハビリテーションが必要な場合、回復期リハビリテーション病院へ転院をお勧めする場合があります。


解離性脳動脈瘤のエキスパート

解離性椎骨動脈瘤の 第一人者

 解離性脳動脈瘤について、水谷 徹 先生(Wikipedia)が詳細に解説していますで、ご参照ください。

下記引用:水谷徹先生のホームページより抜粋